無邪気だったあの時代のままいられたら…と鏡は何度も想っただろう。渇ききった鏡のこころがいつも求めているのは…血のつながりを持つ姉…。玲央奈との激しい情事の最中も、鏡の感覚は冷たく冴え、意識は姉と心を通わせた完備の思い出へ閉じこもっていた。恋人に裏切られ、一夜限りと鏡に身を任せた要は、自分の中で付加していく鏡への狂おしい想いを抱きながら、通じることのない電話を何度もかけ続けるのだった…。耐え切れずに鏡の部屋を訪ねる要。ようやく鏡に出会えた彼女は、うわずる声でその想いを吐き出すが、鏡の表情は氷ついたまま、そう、心はいらない。許されるのなら、ただ…抱いて…。それが要にのこ荒れた。たった一つの道だった。果たして要と鏡は…。